[日常あれこれ]
2025年06月30日
大学時代に経験した怖〜い病気の話
こんにちは、獣医師の大野です。
梅雨真っただ中です。気温が高くなるのもさることながら、
私は何よりも湿度に弱く、60%超えると頭が痛くなります。
先日昼過ぎまで雨が降って夕方から日が差していた日、
地面にしみ込んだ水分が蒸発したことで、
夜になっても気温30℃程度、湿度は90%超え、
計算上の不快指数は86を超えていました。
(80を超えるとほぼ全員が不快と感じるそうです)
院長は普段「湿度高いですね!ムシムシしますね!」と言っても、
「ああ〜そうですか〜?よくわかんないです」って感じなのですが、
その日は流石に不快指数MAXだということに気づいた様子でした。
「まあ、不快ですけどね、これぐらいなら走りに行けますよ」

おかしい…この人絶対おかしい…。
こんな日は立ってるだけで死にそうなのに、走るなんてどうかしてる・・・。
私がこんな日に走ってたら、多分それは【希死念慮】みたいなものです。
「あ、大野は今死のうとしてるんだな〜」と思っていただいて間違いありません。
院長もそうなのかも、もしかしたら死に向かって走りたいのかも…と思いましたが、
院長は全くそうではないらしいです。
彼は今年も湘南国際マラソンに出るんだ!と未来に目を輝かせているだけです。

「どうかしてるぜ!」と言ったところ、
「全然、普通ですよ」とのこと。私から言われるだけで、
「黒田さんも何も言ってなかったですよ」とのことでした。
なので、院長に教えてあげました。
私が「こんな暑い中走るとか気が知れないわ〜」と言ったら
隣で黒田さんが割と深めに首を縦に振っていたことを。
まあ、気持ち的には死に向かってないとしても、体が死に向かうことはありますから
暑い中のランニングは気を付けてほしいですね。
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大学4年生の頃。
私の通っていた大学では午前中は講義があり、お昼休みを挟んで午後は実習がありました。
学年が上がってくると実習も大変なものが多くなるのですが、
4年次のとある実習は1度でも欠席をしてしまうと単位がもらえなくなり、
実習の単位がもらえないと留年になる
という噂があり、何としても出席しなくては…とプレッシャーでした。
そんな山場と言われる実習が行われていた6月下旬のある週、
出だしの月曜日・火曜日は同級生と同じように実習に参加し、
帰宅時間が遅かったりレポートがあったりで疲れが出始める水曜日、
この日は朝から体調が悪く、体温計で測ってみると39℃を超えていました。
私は元々高熱を出しやすいタイプで、今でも風邪をひいたりすると
結構簡単に40℃を超えます。
朝起きた直後の体温は35℃以下なので、平熱が高いわけではありません。
おそらく私の自律神経が任務放棄しているんだと思います。
体温40℃を経験したことない方もいらっしゃるかもしれませんが、
40℃を超えるとどうなるかというと、あくまで個人の感想ですが
感覚がかなり鈍くなり、もうあまり辛さを感じなくなります。
トイレに立ったりしても、足が自分の体重を感じず、
もしかしたら少し宙に浮いてるんじゃないかと思うくらい、感覚がなくなります。
なので、個人的には40℃超えると逆に少し楽です。
もしかしたら【死】に近いということなのかも…。
42℃までは経験したことがありますが、調べてみたところ
42℃になると脳の神経細胞が死滅したりするそうです。
だからふわふわするのかもしれませんね。
なので、実は私にとってしんどいのは37〜39℃台ぐらいの、ちょっと中途半端な高熱です。
ただただしんどい、でもだからと言って、実習を休むわけにはいきませんでした。
かなり体調が悪い中、居眠りしながら午前中の講義をクリアし、
午後の実習も高熱でフラフラしながら何時間も立ちっぱなしで参加しました。
私が気にしていたのは、周りの人に自分の体調不良がバレたらまずい、ということでした。
いっそのこと学生の半数以上がぶっ倒れたりすれば
実習が中止になって、別日にやり直しみたいになるかもしれませんが、
私一人が参加できなかった場合には私一人が単位をもらえずに終わります。
もしこんなに高熱があることが周りにバレてしまったら、強制的に帰らされてしまう…。
というわけで、周りには絶対に悟らせないように、いつも通りに振舞っていました。
高熱は翌日木曜日になっても全く下がりませんでした。
とにかくだるい。体が重い。そして、耳の後ろが痛い。
触ってみると耳の後ろの眼鏡をひっかけるところ、あの部分がかなりはれ上がっており、
耳たぶの縁とつながるぐらいになっていました。
なので、横になると枕にあたって痛い…
でも横になっているわけにはいきません。何せ私にはまだ実習が2日間残っているのです。
朦朧としながら実習に参加しつつ、気が付いたことがありました。
木曜日も前日同様、体調不良を悟られまいと元気にふるまっていたのですが、
いくら装ってたとしても誰も気づかないなんてことある?と。
私が女優として優秀すぎるのかもしれませんが、
私の体調不良には恐らく誰一人として気づいていませんでした。
それは私にとっては好都合ではあるのですが、
そういえば高熱と若干の頭痛はあるものの咳も出ないし声がれもないし、
鼻水もくしゃみも出てないな…ということに気が付きました。
頻繁に咳込んでたりすれば気づく人も出てきますが、
他人が一見してわかるような症状というのが何もないのです。
…てことは、これは風邪ではないのかもしれない。
疲労?ストレス?そんなんでここまでの高熱出る?
そんなことを思いながら迎えた実習最終日の金曜日、頭の中は
「明日になったら…明日こそ病院に行ける…」ということでいっぱいでした。
なんとか実習から帰宅し、明日病院が何時から開いているのかを調べ、
保険証を探し、行き方を調べて早々に入浴をしてベッドに入りました。
が、さらに熱が上がったようでなかなか寝付けず…
寝不足のまま朝を迎え、シャワーを浴びようと服を脱いでみたところ、
体幹部を中心に埋め尽くすほどの発疹が・・・

まじか〜〜〜!
これはもう絶対ただの風邪ではないぞ?
はしか?風疹?水疱瘡?
でも風疹と水疱瘡はかかったことあるし、はしかは予防注射してるし…。
実習中はマスクと手袋をしていたので誰にもうつってないとは思うけど、
なんだかわからない感染症かもしれないので
そもそも直で病院に行っても良いのだろうか…と考え、
何か所か電話をしてみましたが、感染症を嫌がってなのかお断りされる事態が続きました。
これは…こちらの気遣いが仇になったパターンでは?
こういうのって困りますよね?じゃあどうしろって言うのさ!
私は体調悪くても自分で自分に救急車を呼んだことはないんですけど、
必要な時にちゃんと救急車呼べる人になりたいですね。
自力で歩けないわけじゃないし、不正利用(?)な気がして遠慮してしまうんですが、
でも救急車なら多少たらいまわしにされて時間がかかろうが、
最終的にはどこかの病院に連れて行ってくれるはずなんです。
自力で行くと平気で門前払いされます。

以前夜中に喘息発作でチアノーゼに陥った時も
「今日の担当は外科医だから」という謎の理由で断られました。
いやいや、死ぬぞ?
救急車をやたら呼んでしまう人の中には、
『自分の足で行けるけどそれでは医療機関がどこも診てくれないから』
という人が結構な割合でいる気がします。
ちゃんと診療時間内に正しい診療科を受診するのにどうして診てもらえないんだろう。
診療費を踏み倒したこともないのに・・・
東京に住んでいた時も、三郷に住んでいた時も、今住んでいる野田でも
コロナ禍とか関係なく、どこに行っても同じような経験を何度もしているんですが
人間の医療の現場ではこれって普通なんですかね〜。私だけ?
私の診察、そんなに嫌?
最終的に自転車で1時間ぐらいかかる病院が見つかり受診しました。
梅雨に高熱出しながら自転車で1時間、
もういっそのこと途中で死にたかった…けど何とか到着。
半年程前に健康診断をした時は何ともなかったのに、
レントゲンでは肺が白くなっており、
血液検査では腎臓も肝臓も数値が上がっていて、
いわゆる【多臓器不全】であると言われました。

ただ、原因が分からない…はしかや風疹や水疱瘡などの
【熱が出てブツブツが出て人にうつる系】の感染症とは違う気がする とのこと。
で、【それ以外の熱が出てブツブツが出る系】の病気で疑わしいものを検査しましょう、
ということで採血をしました。
結果は数日後に出るとのこと。
点滴をしてもらいましたが熱が下がることはなく、入院設備のないクリニックでしたし、
どこか入院設備のある病院を探し出したとしても、
入院をしてしまったら翌週の実習に出ることができません。
どんな状況であっても必ず実習に出席しなければならない
というシステムと、
医療機関に受診を拒否される
という2つのシステム、そして謎の病気の3本立てで
結託して私を殺そうとしているんじゃないかという気がしました。
チキショー!負けんぞ!
医師に相談したところ、前述の3つの感染症ではなさそうなので、
出席停止にはならないとのこと。
多臓器不全になってることだけは忘れないでと言われました。
そして多臓器不全女子大生は再び自転車で1時間かけて帰宅・・・。
それからは体調不良だけでなく精神的にドキドキする日々が続きました。
原因が分からないので、本当に他人に感染させないかが不明なため、
元気にふるまいつつも人との接触は極力避け、
自分の体調の変化にも注意をしなくてはなりません。
ついでに自分の周りに同じような症状の人がいないかよく観察。
授業にも出なきゃいけないし、先週の実習のレポートも書かなきゃいけないし、
いつ何が起こるか分からないから念のため入院の準備と身辺整理も…。
体調不良なのに、なんだかとても忙しい。
でも何せ多臓器不全なわけで、無理すると(しなくても)後々怖いことになりそうです。
何の病気か分からない以上、夜寝たらそのまま死ぬ可能性もあるぞ…と思い、
そうなっても良いように毎晩しっかり部屋を片付け、
ベッドの下に大きなレジャーシートを敷いて寝ました。
(夏でしたし、死んだら腐敗が速そうなので、下の階の人に迷惑をかけないように)
そんな日々を過ごす中、検査結果が出たと病院から連絡が入りました。
病名:ツツガムシ病
聞いたことある!という方は多いと思いますが、
かかったことある!という人はなかなかいませんよね。
ツツガムシという草むらなどにいるダニの一種に刺された際に感染し、
刺されて3週間後ぐらいから高熱が出始め、その後発疹が出ます。
年間500人ぐらいが感染し、毎年死者が出ているようです。
また、はしかなどのように人から人へ感染することはありませんが、
危険な病気であることに間違いないので、診断した医師には
保健所に報告義務がある4類感染症の1つです。
思い返せば私も数週間前に他県でアウトドア活動をしていたため、
その時に気づかぬ間に感染したのだと思います。
当時はまだ20代前半でしたので、何とか入院せずに多臓器不全の状態から脱しました。
でもよくよく調べると…冷や汗が出ます。危うく死ぬとこでした。
Good Job 治癒力!
当院に来院される動物たちも、約半数の方がノミやマダニの予防をされています。
ただ、「これって本当に必要かな〜」と思っている方、いらっしゃいませんか?
特にこれまで何となく飲み続けていた方は、
「ノミとかマダニとか、この辺りに本当に存在してるの?」とお思いかもしれません。
が!そう思うのは予防薬が効いているからだと思いますよ。
このあたりの草むらには、結構ノミやマダニがたくさんいます。
最近ニュースで【マダニ媒介感染症で獣医師死亡】と話題になったのご存じですか?
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)という病気で、
10年ほど前に発見された新しい感染症です。
これまでは西日本の病気という印象でしたが、
最近どんどん存在感を増してきており、
いつ当院に感染した動物が連れて来られてもおかしくありませんし、
その周りの人間に感染者が出てもおかしくありません。
少し長くなりそうなのと、出来るだけ分かりやすくまとめたいな〜と思うので、
次回の投稿に向けて準備中です。
取り急ぎ、皆様にお伝えしたいのは2つだけ。
1、ノミダニ予防をしっかりやりましょう
2、具合の悪い外猫を連れてくる前に、必ずお電話ください
この2つです。
ノミダニ予防はこれまで、「お散歩で草むらに行くならしましょう」という程度でした。
でも、この“草むら”という表現、

↑こういう所にずんずん入って行くことを想像していますか?
私の認識での草むらとは

この街路樹の下の草から数センチの距離もアウトです。
この距離でもたぶん寄生されます。
また、庭なら大丈夫!と思われている方もいるかと思いますが、
草が生えてたら庭でもアウトです。
正直「アスファルトなら大丈夫ですか?」と聞かれても「う〜ん」って感じです。
何故なら、ダニやノミが感染している動物の体から吸血後に道路に落下し、
直後にその付近を通過すれば…飛び移って寄生されることもあり得るからです。
「フィラリアは寄生されると命にかかわるので、必ず予防しましょう」
「街中を散歩するだけなら、ノミダニ予防はなしでも良いですよ」
と、過去に言われたことがある方もいらっしゃると思いますし、
実は今年も何人かから聞かれてそのように答えていました。
が、ここに来て状況が変わりました。ノミダニも予防しましょう。
ノミダニも命にかかわる病気になっただけでなく、
フィラリアと違って動物から感染した人間が亡くなるケースもあります。
動物は毛がもさもさ生えているので、付着した虫を見つけるのは難しいです。
毛を全部剃り上げて、散歩から帰ったら毎回全身シャンプーする、とかなら
予防薬なくても防げるかもしれませんが、1日2回もそれをするのは非現実的ですからね。
お薬も様々なタイプがありますので、
「値段が安いのがいい」「手間が少ないのがいい」「しっかり効くのが良い」
など、ご要望を伺って処方可能です。まずはご相談ください。
また、ノミやダニのいる環境で生活していた野良猫が衰弱しているなど、
先ほどのSFTSである可能性が否定できません。
院長とも話し合いましたが、当院は今のところ感染の可能性のある動物でも
受け入れ拒否にはしない方向で考えています。
でもだからと言って、何の対策もしないで診療をして、
動物も、飼い主さんも、待合で一緒になったほかの方も、
獣医師も看護師も全員が感染する、なんてあってはならないことです。
なので、受け入れる場合にはそれなりの準備が必要になります。
因みにこの病気の感染防御のレベルは、今のところ
コロナ全盛期の時の防御レベルと
同等か、それ以上であるようです。
準備にお時間を頂くため、お連れ頂いても長時間お待たせしてしまいます。
待合に入れるわけにはいかないので、もちろん外で。
そうなるとSFTSじゃなかったとしても、人も動物も熱中症で死にます。
なので、来院をお考えの方は、まずは当院までお電話にてご連絡ください。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
七夕飾りの短冊、少しずつ増えてます。
安中キッズにもお願いしたのですが、我々界隈では
安中家の6歳の次男:中助くん(仮名)の願い事が、超かわいいと話題です。

とっぷのてんいんさんになりたいです

とっぷとは、駅の反対側にあるスーパーです。
いつも丁寧に接客をしていて、みんなに信頼されているからという理由で、
中助くんはこのスーパーの店員さんに憧れているそうです。
かわいい!
新NISAの健やかな成長を願ってしまった私は、なんて汚れた人間だろうと思いました。
でもね、中助くん。
君のお父さんも店員さんに負けないぐらい頑張ってますよ。
短冊をまだ提出してくれてないけども!
