あんなかどうぶつ病院 千葉県流山市前平井 04-7179-5712 流山セントラルパーク駅 動物病院 ペットホテル

あんなかどうぶつ病院
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2025年08月31日 [日常あれこれ]

ひとり大人の社会科見学しました!

夏休みも終わりますね。
獣医師になってから14回目の夏でしたが、
この業種は夏休みなんて関係ないことが多く、
他業種の人たちが「お盆休みが3日しかない…」とか話してるのを聞くと、
「え!?お盆休みって何!?3日もあるの!?」と思うのが正直なところです。
うらやましい!

8月は何処へ行っても人でいっぱいで、車も大渋滞、
そして日照時間が長く紫外線も強く、
連日の猛暑ともなれば少し出掛けるだけで翌日に響きます。

休みの日は心を開放して自由に過ごすためのもの
というのが昨今の風潮のようですが、私は

【休みの日は仕事で疲れた体調を整えつつ、
次の出勤に向けてエネルギーを溜め込むためのもの】

という昭和な考え方が抜けません。だから派手なことはできない。


当院の患者さんとお話していて、「〇〇へ出かけました!」とか
「〇〇の山に登りました」みたいなお話を聞くのが実は大好きです。
行ったことのない場所の話を聞いた後はその場所についてひたすら調べます。

特に、本当は行ってみたいけどなかなか行けない高い山とかは
ストリートビューで山頂付近をウロウロしてみたり、
周辺の宿泊先を調べてそこに泊まることを想像し、
お土産何買おうかな〜とか、天気が良いとこんな感じか〜
曇りだとこんなか〜、秋だとこんなか〜みたいに四季折々を登った気持ちになります。

鼻歌交じりでも行けそうな登山道の時もあれば、
「ココ、絶対熊出るよね?」という時もあれば、
「これ、足踏み外したら滑落して岩場に頭ぶつけて死ぬよね?」という時もありますが、
実際には絶対行けないだろうという超上級者向けの山でも、
写真のおかげで登山経験豊富です。高山病にもなったことありません。(当たり前だ)
秋

実際に行ったことのある場所だと青森の城ヶ倉大橋が好きです。
車で行けるし涼しいし!熊いるけど。
夏にしか行ったことないので秋の紅葉見てみたいですね。

己の想像力だけで楽しむ…という高度なテクニックを必要としますが、
お金も時間もなかったとしても楽しめますし、
そのまま突然南極に行ってみたり、アフリカに行ってみたり、
北朝鮮に行ってみたり…と普通ではできないことが数時間でできます。

実際に行く喜びには到底かないませんが、
子供の頃から欲しいものややりたいことは全て想像力でカバーしてきたので
【プロの想像力師】だと思います。
なので、何処か素敵なところに遊びに行った方、是非お話聞かせてください!
それだけで十分楽しめるので!

今年こそ青森にお墓参りに行きたかったけど財政難で断念。
家と職場とスーパー、ホームセンター、ドラッグストア、
時々墓地をグルグルするだけの日々でした。
が、30代最後の夏、このままでは行かん!
何処かに行ってみようかな…と思ったものの、お金ないし、時間もないし、
暑すぎるし、人混み苦手だし…。

@お金がかからなくて
A日帰りで行けて
Bできれば室内の涼しいところで、
C人が少なくて
D行ったことがないところ

この条件に合うところを色々考えた結果、見つけました!
関宿城博物館

関宿城博物館
関宿城ってご存じですか?

私の住む野田市は両側を利根川と江戸川に挟まれた細長〜い市です。
現在

この市を縦断するように通っているのが
東武野田線(東武アーバンパークライン)国道16号ですが、
縦断と言っても中央付近で埼玉方面に曲がってしまうので、
これより上の北部の地域は交通手段がほとんどありません。
市が運営する市バスは私の住んでいる地域よりは本数は多いものの
それでも1日6本しかないので、車がないとなかなか行けません。

私は野田市に住んで10月で10年になりますが、
北部の地域には2回ぐらいしか行ったことがありませんでした。
真ん中より上の方を関宿地域と呼び、
関宿城は本当に北の端っこに存在します。

有名なお城じゃなさそうですし、特別これと言った売りもなさそうですし、
そもそも私は城にあまり興味はない方ですが、
でもせっかく近くにあるんだし一度行ってみよう!と思い立ち、
ひとり大人の社会科見学をしてきました。

北に向かって車を走らせていると
天守閣

見えてきました、天守閣!


走行しながら撮影したわけじゃないですよ。ちゃんと停まってます。
道路でこんなことができるのは車が全然来ない証拠です。

で、駐車場に着いてもう一度びっくり。
ガラガラ

え…休館日?

一応調べてから来たので大丈夫なはず!

駐車場を降りて敷地の端に立ってみると
たんぼ

お城がだいぶ上の方にあるので田んぼまでが遠いです。
まだ中に入ってないですが天下とった気分です。


城って言いつつも結構きれいに残ってるな〜と思ったものの、
これは1995年に復元したもので、
本来のお城の在った場所とは少しずれたところに建っています。
本物のお城は江戸時代に洪水で全壊してしまったようで、
資料も残っておらず、今ある模擬天守が本物と似ているのかどうかもよくわからないようです。

中に入るとここにも駐車場が。
良かった…こっちにみんないたのね…と思ったけど
駐車場

まあ、少ないことに変わりはないですね。

年間パスポートみたいなものも売ってるようですが、多分そんなに来ないので
200円の入場チケットを購入しました。
そして半券をもぎるのと警備を一緒にやってるスタッフさんに
はいどうぞ、とこちらのカードを頂きました。
マンホールカード

マンホールカード

調べたら結構集めてる人もいるらしいです。
日本全国にあり、流山にも2枚存在するようです。
集めてる人いたら差し上げます。私には使いこなせないので。

博物館の中はとても涼しく、前半は警備員さん以外の
人間を見かけなかったので、どの展示も見放題でした。
1階から3階までが展示室、4階は展望室になっており、
関宿地区の田んぼが見渡せます。
展望室

でも大パノラマ、とかではないです。4面に窓があるってだけで、
壁の部分も多いので視野は削られるのと、
何故か北西方向にしか有料の望遠鏡がないという不思議。
天気が良いとスカイツリーや富士山も見えるらしいけど、
この方角には望遠鏡がないので、相当視力が鍛えられます。

そしてこの展望室でやっと自分以外のお客さん1人に会いました。
荷物やパンフレットなど何も持っておらず、
首から手拭いをぶら下げたおじいさんが、
長椅子に腰かけてボーっと外を眺めていました。
なるほど、そういう使い方なら年間パスポートが必要ですね。
飲食禁止なのは残念ですが、野田はそもそも高い建物が少ないですし、
模造であっても一応城の形をした建物の4階から見下ろす景色は
天下を取った気分に浸れそうです。

この城そのものに関する展示は全体の3割程度で、
大部分を占めていたのは利根川と江戸川についてでした。

車のなかった時代は川は人の移動だけではなく物資の移動も行う手段でしたし、
農業にも水が欠かせなかったので戦国時代には
【関宿を制することは一国を制することに等しい】
と考えられていたようです。
でも川があるとなると水害はつきものです。
当時の地図では関東は川が多くすぐに水害が起きてしまう上に
ほぼ湿地で農業にも向かず、そもそも人が住める陸地が今より少なかったようです。
で、今回初めて知ったのですが、水害対策のために

利根川を東にずらす工事をしたとのこと。


え?あんな大きいものをずらす?
重機もないのに?どうやって?

今


↑今現在はこんな感じで川があるんですが、もともと利根川は

昔

↑こんな感じで太平洋ではなく東京湾に向かって流れていたとのこと。

でもあまりにも水害が多いので、徳川家康の時代から大規模な工事を開始。
江戸周辺に水害が起きないように、江戸に幕府が移って
急速に増えた人たちが住む場所も確保しつつ、
交通網としての川も確保しなくてはならないという、
押さえるべきポイントの多い工事でした。
小さい複数の川を1つにまとめたり、水流の多い川を分けて水の量を減らしたり、
手作業で地面を掘って流れの方向を変えたりして今のような形になったとのことでした。
ハザードマップ

↑今でも野田市の洪水ハザードマップは真っ赤ですが、
工事してなかったらこれ以上だったんでしょうね・・・


工事の前は東北地方との物資の輸送などでは太平洋を船で移動し、
房総半島を回り込んで江戸に運び入れていましたが、
当時の船のクオリティを考えると潮の流れで回り込むのは難しかったようです。
利根川が銚子方向につながったことで、
銚子から利根川に入っての川輸送ができるようになり、
さらに関宿から江戸川に入って江戸に運べるようになりました。

また、江戸幕府を開いた時の関東地方は、
周辺を山に囲まれていて外から攻めづらい地形ではありましたが、
唯一の懸念事項は現在の茨城と千葉の間に山がないことでした。
山がないと仙台にいる伊達政宗の騎馬隊に攻め込まれるかも…
という危険性もありましたが、利根川を銚子に繋げたことにより
大きなお堀のような役目を果たすことが出来ました。

現在は東北の人が攻めてくることはないですが、でもこの利根川のおかげで、
今現在千葉県の被害がゼロに抑えられていること
があります。
それは・・・です。

千葉県は唯一熊が存在しない県です。
少し前までは隣の茨城県も熊のいない県でした。
が、2006年から福島と栃木との3県境になる大子町で発見され、
その後も毎年見つかっています。
近年はドングリなどがつくられる広葉樹林の伐採により
山の中に食べ物が少なくなっているので、
新しい地を求めて熊が山を越えてくることがあります。
熊は泳ぐこともできますが、さすがに利根川ほどの幅があると泳ぐのは難しく、
また川沿いに市街地が広がっていることで千葉県には熊がいないようです。
でも一度千葉に入って南の方にダッシュしていけば、
あちらにはまだ熊のいない豊かな森林が広がっているので根付いてしまいそうですね。

昔はこういう郷土史なんかには全く興味がなく、
小学校の時にも地元の見沼代用水というものを整備した井沢弥惣兵衛
という人について学んだ記憶がありますが、
「だから何だよ」ぐらいに思ってました。
でも、この歳になると結構楽しい・・・

この川に関する展示だけで1時間以上かけてゆっくり見て、
帰宅してからも利根川のことで頭がいっぱいになるほど
興味がわきました。博物館…面白いぞ!
また、地図では関宿城博物館に行く手前に存在しているのが
「鈴木貫太郎記念館」なる場所です。
記念館

鈴木貫太郎さん、ご存じですか?
私は太平洋戦争終結時の総理大臣だった、ぐらいの薄〜い知識しかありませんでしたが、
今回気になって調べてみました。

かんちゃん

鈴木貫太郎さんのお父さんは関宿藩の人だったため、関宿はいわば実家的な場所です。
第二次世界大戦が始まる少し前、鈴木氏は天皇の身の回りの世話をする
侍従というお仕事のリーダー(侍従長)をしていました。
その頃の日本は関東大震災や世界恐慌があった後で、景気がとても悪く、
失業者も多く、女性が身売りしたりなどが多くみられました。

が、

いつまでたっても景気が良くならない!
なのに政治家や財閥などの上級国民は豊かな生活を送っている!
これは政治が悪いからだ!天皇と軍が中心の内閣にすれば
日本はもっと良くなるはずだ!

と考えた農村出身の若い将校たちが、クーデターを起こし、
当時の大臣や天皇の側近たちを殺害し、
首相官邸や警視庁を占拠するという二・二六事件が起きました。

この時、侍従長をしていた鈴木氏も
自宅で頭・肩・左胸・左わき腹と4発の銃弾を受け、
一時は大量出血で心停止
もしたものの一命をとりとめました。

これ、当時の医療技術を考えるとすごいことだと思います。
救急車を呼んだりもできず、高度の医療機器があるわけでもないのに、
しかも4発が全部脚とかならともかく、
頭と左胸入ってたら・・・ああ、もう絶対無理です。
私は助けられない自信がある。
心停止から一命とりとめるってかなり厳しいですからね・・・。

この出来事から日本は戦争へとさらに進んでいきました。
それから9年後の1945年4月、
鈴木氏は昭和天皇の強い希望で内閣総理大臣となります

この頃はイタリアが既に降伏し、ドイツも降伏する直前で、
積極的な戦争が続いているのは日本だけでした。
鈴木氏は自分が何とか戦争を終わらせようと尽力しましたが、
まだ戦争を続けたい陸軍の将校たちが再びクーデターを起こしました。
当然総理大臣だった鈴木氏はまたターゲットとなり、
東京の自宅に火を放たれ、全焼してしまいました。
幸い家族とともに逃げることができたため命は助かり、
その日の午後に玉音放送、そして終戦となりました。

晩年は関宿に居を構えていたようで、その旧宅の隣に記念館を作ったようです。
数年前までは中に入れたのですが、今は建物が老朽化していて
修繕が必要な状態だそうで、予定では5年後ぐらいにリニューアルされるとのこと。

調べると結構すごいことをした人なのに、あまり知名度は高くありません…よね?
私が無知なだけでしょうか…

今年は戦後80年の年でした。私の祖父は2人とも戦争に行っていた世代でした。
2人とも私が子供の頃に亡くなってしまったのであまり直接話を聞けませんでしたが、
数年前祖父母の家を取り壊す際に祖父の古い日記のようなものが出てきて、
関東大震災の時の様子徴兵検査を受けた時の話
戦地で上官が話してる時によそ見してて毎日のように怒られた話などが書かれていて、
祖父の独特の感性も相まって非常に興味深いものでした。
もっと直接話をたくさん聞きたかったです。
もし今私の枕元に立つようなことがあれば、
捕まえてもう帰さないぞってくらい話を聞きたいですね。
逃がすな

帰さんぞ、おじいちゃん
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
野田の地図を見ていて数年前に大きな発見をしたのですが、
野田は江戸川と利根川の大きな二つの川に挟まれている市、と思っていたものの、
地図をよ〜くみてみると
まるつきここだよ

↑この三角の角っこ、ここはどうやら野田ではありません。
地図によるとここは茨城県。どうして千葉県じゃダメなんだろう…
ざっと見たところ住んでいる人もいなさそうです。
ただ、ここには小さな公園があります。
上空から公園


中の島公園。住所はやはり茨城県猿島郡です。
この公園、車では行けません。ここに行くためには
関宿城博物館の駐車場に車を止めて、
徒歩または自転車でズンズン行くらしい…。
遊具とかがあるわけでもなく、
見どころというと樹齢100年を超えるコブシの木がある
こぶし

というのが売りだったはずなのに、令和3年にそちらも撤去されているようです。
(朽ち果てて危険だから)

・・・人の気配が感じられません。人はいないけど、
マムシ

マムシが出るらしい・・・。怖い・・・。
「なんだか不気味なところでした!」なんて書いている人もいるので、
行ってみたい気もするけど、何かあっても目撃者もいなそうだし、
誰かともみ合って川にドボンなんてされた日にゃ・・・どうしたもんか迷ってます。
でもこういう謎空間って気になりますよね…

と思い調べていたら、この空間で毎年催されているらしいのが
利根川大花火大会

利根川大花火大会
花火2

↑ホントかよってぐらい綺麗なんですけどホントかよ。
今年も9月13日(土)に開催されるようです。

確かに花火大会やるには良いところな気がします。
大きい川があるし、高い建物もないし、民家も少ないし、
茨城・千葉・埼玉の県境なのでみんなで楽しめるし。
ただし、公共交通機関が基本的にはないので、
当日は大渋滞必至です。流山から見えるかな〜
診療時間

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