 
2025年10月31日 [病院のこと]
ハロウィン と 卵焼きに仮装(?)した可哀そうなのんさん
こんにちは、獣医師の大野です。
昨日、裏の暁星国際流山幼稚園の園児たちがハロウィンの仮装をして来院しました。
Trick or Treat 的なやつです。
 
↑群がられる院長。幼稚園から掲載許可頂きました。
余談ですが…
前々から思ってたんですけど、「お菓子をくれないとイタズラするぞ」って
ハロウィンという行事だから許されてますけど、
平時で言われたら張り倒しそうです。何様だ!脅迫する気か? って。
「それがお菓子をもらう人の態度かな?」ってネチネチ言うと思う。
我ながら嫌なババアだ(笑)。
お菓子は子供たちが来る少し前に幼稚園の先生が届けてくださいました。
一人ずつ「Trick or Treat」と言ってもらいます。
英語教育に力を入れている幼稚園なので、子供たちの発音が良すぎて、
院長が「You're welcome.」という度に、子供たちから発音を指摘されるのではと
ちょっとハラハラしました。
幼稚園で用意してくださったお菓子をさもうちで用意したかのように渡しました。
子供たちが大きくなってこの記事を読まない限り気づかないでしょう。
ちょっと罪悪感があったので、当院のロゴシールもあげました。それも、
 
↑ハロウィン2025バージョン
以前作成したデータがどっか行っちゃったので
前日に急遽こしらえた新バージョンです。
本当はかなりレアなキラキラバージョンのロゴシールをあげたかったのですが
(ビックリマンチョコみたいな)
園児が80人以上来るとなると数が足りませんでした。
キラキラシールは院長の宝物の一つのようです。
手に入れた時、何度もいろんな角度から眺めながらほくそ笑んでいた顔が忘れられません。
ここぞ!って見栄を張りたくなった時にキラキラを渡すようにしているので、
欲しい方は院長に直に言えば在庫があればたぶん貰えますよ。
ハロウィンシールも少し在庫がありますので、
来年用に欲しい方はお早めに!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
先日いつものようにのんさんをわしゃわしゃしていたところ、
右わき腹に何やらポチっとしたものを発見!
のんさんはこれまで何度も【肥満細胞腫】という腫瘍ができ、
その度に鎮静をかけては切除するのを繰り返しています。
【肥満細胞腫】は犬では悪性腫瘍の中でもかなり悪い奴の部類に入りますが、
猫の場合は皮膚にできるタイプはあまり気にしなくて良いと言われています。
気にしなくてよいけど、出来てたらその都度取ってね、って感じらしい。
なんか今回もそれな気がします・・・。
本来はまずはポッチに針を刺して細胞を取って検査すれば良いのですが、
のんさんは体以上にメンタルが弱いので、
押さえつけてブスブス針を刺したりしたらたぶん悲しくて死にます。
また、大きさも3ミリ程度ですし、場所も脇腹なので
普通なら局所麻酔でちゃちゃっと取れちゃう程度ですが、
局所麻酔の針を刺す痛さとか、じっとしてなきゃいけない不自由感とか
そういうダメージに非常に弱い残念な猫です。
なので、もしかしたら全然取る必要ないポッチかもしれないけど仕方ない、
また麻酔で眠らせて切除しました。
だって大丈夫とも言い切れないですし…。
まあ、どの道そろそろ肛門腺に針を刺さなきゃと思っていました。
のんさんは他のみんなのように肛門腺を絞ることができません。
彼は肛門腺の開口部(出口)がないので、溜まる一方で出せないのです。
本人が気にしてなければスルーでもいいのですが、
違和感はあるようでとっても気にしています。神経質だし。
なので年に1回ぐらい肛門腺に直に太い針を刺して臭い液体を抜かなくてはならない
なかなかにめんどくさい猫です。
この処置は先ほどの腫瘍を取るよりたぶん痛いので、
麻酔で寝かせて同時に実施することにしました。
ついでに少し前に見つけた首のとこのポッチも。
幸い術前にした血液検査はとても優秀でした。
いつも高値をたたき出す【中性脂肪】もちょっと高い程度です。
普段はこういう時は自分がお休みの日に来て
こそっと処置したりするのですが、最近は休みの日も予定が詰まっており、
かと言って絶食でやらなきゃいけないので午前中が良い…ということで
ある日の水曜日、いつもより1時間以上早い朝7時に出勤し、
他のスタッフが来る前に一人で黙々と全作業を終えました。
正直、眠い!休みの日も予定が詰まってるということは
休みの日も忙しいということなので、実はとても疲れているということです。
だから本音は少しでも長く寝ていたい!
でも、のんさんのためだ、仕方ない!
 
問題の脇腹ポッチは矢印のところ。
背中じゃん!と思いますよね?肉が柔らかいので、
立ち上がると脇腹なのに、寝かせると背中になります。
 
かなり小さめです。ニキビぐらいかな〜
 
首ポッチはこちら。実は耳にもあったりしますが気づかないことにしています。
手術後は首と脇腹の傷口をいじらないようにダサダサの術後服を着せました。
今回は手足には傷がないのでエリザベスカラーはなしです。
 
↑いつもの卵焼きスタイル。
処置当日は鎮静剤の影響で夜までずっと大人しい…
大人しいというか…ムッとしているのかもしれません。
しかし翌日になってものんさんは前日とあまり変わらず。
生気が失われているという表現の方が正しそうです。
両目とも半分ぐらいしか開かず、鳴き声もいつもとは違って
かすれた小さな声で「に゛ゃー・・・」というばかり、
 
ケージの外に出しても術後服が気になるようで
よたよたと数歩歩いてはその場に横倒しに倒れ込んでいました。
 
↑行き倒れのんさん
え…まさか普通に具合が悪いの?とかガチで心配になるんですが、
ご飯はちゃんと食べてますし、もちろん排泄もばっちり、発熱もありません。
そりゃそうですよ、15分もしないで処置は終わりましたし、
なにより4ミリの傷が2つついただけですからね!
簡単な手術の代表格、オスの去勢手術よりも更にずっと簡単な手術ですし。
いつもよりも抱っこして欲しい気持ちは強いようで、
腰が痛くなってきて下ろそうとすると小さな声で鳴いて抵抗…。
これは…心がやられていますね。
これまでもそうですが、のんさんは何か医療行為をされると
「のんちゃんは ながれやまで いちばんかわいそうな ねこなんだ
きっと もう しんじゃうんだ」
みたいになります。この世の不幸をすべて背負ったような顔。
毎度のことなので、「ああ、またあれか」と頭では思っているのですが、
「あんなにしょんぼりしちゃって。なんてかわいそうなのんさん」
と思ってしまう自分もいたりします。
 
↑時々引っ張り出して天日干ししたりしました。
神々しすぎる!
そんな状態が続きまして、いつも以上にのんさんを気遣って生活していましたが、
土曜日、のんさんの傷口を見てみると、もう傷がくっついている!
これなら抜糸できるんじゃないかしら。
抜糸できればもう術後服を脱がせられるんじゃないかしら。
脱がせればのんさんのメンタルは治るんじゃないかしら。
という衝動に襲われました。
水曜日に処置して、土曜日に抜糸はちょっと早い。
早いけど、実際ちゃんとくっついているもの。
のんさんはきっと栄養状態が良すぎるから傷の治りが早いんだ!
と自分に言い聞かせ、本人の強い希望もあり土曜日に首と脇腹の抜糸をしました。
念のためもう一晩だけ術後服は我慢してもらいましたが、
日曜の昼には術後服も脱がせました。
脱がせた5秒後から、のんさんは半眼だったおめめがぱっちりと開き、
声はしゃがれ声から一瞬でつややかな声に戻り、
フラフラと歩いていたのがダッシュするようになりました。
そんな急に変わる?露骨だな〜
でもまあ、良かったです。具合悪いんじゃないなら。
のんさんはこういうの根に持たないタイプなので、
解放さえされれば別にもうそれ以上恨み後言ったりはしません。
のんさんは術後服を着ていた間には見向きもしなかった紐を追いかけて遊んでいました。
良かった…全然元気だわ…。
その後遊び疲れたのか夕方まで毛布を被って寝ていたのんさん。
もしかしたら術後服のイライラで意外と睡眠不足だったのかも…と思い
しばらく放っておいたのですが、
18時ごろ毛布の下に隠れているのんさんの後頭部を撫でていたところ、
あれ…首のところが一部しっとりする…まさか!
と思って引っ張り出したところ
悲報:首の傷 離開(パックリ開いていること)
のんさん、執拗に後ろ足で首を掻きむしってしまったようです。
これは…もう一度縫うしかない…
幸か不幸か針を刺さなくても傷口が開いてますので、
そこに局所麻酔を滴下。これである程度は効きます。
少し効いてきたところで極細の針で局所麻酔をし、
院長に2針縫ってもらいました。
「こんなに神経質な猫いないですよ」とのお叱りをうけるのんさんと、
「抜糸が早すぎたんですよ」とのお叱りを受ける飼い主。
だって…のんさんが可哀そうな猫ぶるんですもの。
でも再縫合になったせいでのんさんはまた術後服に逆戻りとなりました。
すまん…(/_;)
再び術後服を着せたところ、押さえられたショックもあってか
一瞬にして目は半開きになり、声はしゃがれ、
歩くのもヨタヨタになってしまいました。
脇腹の傷は無事なので、首さえ守れれば良いということで、
 
↑途中から首だけテープ巻いてみました。
驚異的な首周りのお肉のお蔭で
 
正面から見るとテープの存在に気づきません。
でもやっぱり
 
右からかきかき
 
左からもかきかき
ああ、こんなふうにしたらそりゃあ離開するでしょう、ってくらいの勢いで。
可哀そうなのんさん。だがしかし、せっかく早朝出勤したのに振り出しに戻って
そんな露骨なことされる飼い主もそこそこダメージ食らってるから許してほしい。
のんさんの可哀そうな顔はブランクなしで働き続ける
臨床14年目の獣医師の判断も一瞬で狂わせるほどのすさまじさです。
今回は確かに私が悪かったのですが、よくよく考えると
私とのんさんの組み合わせが最悪な気がします。
のんさんはとても神経質でちょっとしたことが気になってしまう猫なので
術後服を着るということがとてもストレスになってしまいますが、
かく言う私もどちらかと言えば神経質なの方なので、
気になってるのんさんがとても気になってしまいます。
もしのんさんが気にしてても、私が「ふ〜ん」ぐらいで気にしなければ
早まって抜糸をするということにはならなかったはずです。
逆に私が神経質だとしてものんさんがおおらかな猫で何も気にしないタイプなら
「のんさんは気にしてないみたいだからまあいっか」となったはずです。
だから実は、私とのんさんの組み合わせは相性が良くないんだと思う。
と、院長に話したところ、
「そうですね。でものんちゃんが神経質なのは、
明らかに飼い主が神経質だから
ですよ。
だから自分の排泄物や吐物を嫌悪しているし、
大したことないことでも気になっちゃうんですよ」
え・・・私のせい?そこまで通じ合います?
のんさんがウンコしたら「臭いね〜嫌だね〜早く片付けようね〜」とは言うし、
トイレの砂を散らばしたりベッドの毛布が乱れたらすぐ直してあげますけど
あの脳みそ小さそうなのんさんがその意味を理解してますかね・・・?
そんなに考え方とか価値観まで似ます?顔は似てるってよく言われますが…
でも確かにこんなに神経質な猫は患者さんでもあまり見ないですし、
顔だけ見てると神経質そうには見えないので、後天的なものかもしれません。
つまり全部私が悪いということですね。
ゴメンよ、こんな飼い主のせいで生きづらくさせてしまって。
 
↑でも、ご飯はちゃんと食べる
ま、のんさんの神経質には死ぬまで付き合うよ。
のんさんはいちいち大ごとになってしまいますが、
本来はそんなに大変な処置ではありませんので
もし、体にポッチを見つけた方はご相談ください。
針を刺して細胞を検査しても良いですし、ポッチの数が多ければ
とりあえず片っ端から取っていくのもありです。
また、のんさんのように全身麻酔をかける場合には
歯石除去や鼻涙管洗浄などの普段はできない処置も
同時に実施可能ですのでご相談ください。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
私はいつも院長から「のんちゃんを甘やかしすぎ」と言われます。
院長も3匹の猫を飼っていますが、獣医師が飼っているという共通点はあれど
両者の生活環境は全くと言っていいほど違います。
院長は7人家族なので、家の中はいつも賑やかでしょうし、
中3から始まり下は2歳半まで5人の子供たちがいますので、
大人と同じように接してくれる子供もいれば
意味もなく体をバンバンたたいてくる子供もいます。
また、多頭飼育なので自分のお気に入りの場所を
他の猫に占拠されていることもあるでしょう。
寂しくなることは多分ない、でも一人になりたい時には難しい。
一方我が家はというと、私とのんさんしかいません。
のんさんは音が苦手なのでテレビの音は小さくしていますし、
ドスドス歩くと怖がるので、家の中での私は
自然とつま先から着地して歩いています。
ドアを「バン!」と閉めることもなく、椅子に座っていても
のんさんがそこに座りたいと言えば喜んで席を譲り、
私はフローリングに転がっています。
 
のんさんのバッグに入りたくて上から圧をかける安中家の炭ちゃんと、
「あっち行って」とも言えずに無言の抵抗を続けるのんさん。
私の願いはただ一つ、
のんさんに悲しい思いをさせたくない、
いつものほほんと生きててほしい
こうして想定外の出来事にとても弱い猫が出来上がりました。
いつも緊張感がなく、猫なのに“ツン”の部分が皆無で
とっても素直ですが何事も飼い主に依存して生きる猫。
「そんな風だからのんちゃんはこんなに弱くなったんですよ」と院長。
幸い人間の子供や犬と違って、猫は甘やかしてもわがままにならないので
困ってることはそんなにないんですが、今回のような有事の時には困ります。
きっと観察しすぎなんですよね。
のんさんが「え・・・」って顔するから、「あ、ここ座っていいよ〜」てどいちゃうし、
のんさんがご飯をクンクンしたのにプイって行っちゃうから、
「あれ?違うのが食べたいのかな?」って別のものをあげてしまう。
院長「そんなの放っておけばいいんですよ、お腹がすけば食べるんですから」
それはそう。結局最終的には食べるの。でも、
「のんちゃんの気持ちにちゃんと気づいてるよ」って伝えたいんですよね。
安中家でのんさんを飼っていたら、のんさんはこんなに弱い猫にはならなかったかも。
毅然とした態度で飼ってたら、もっと自立した猫になったかも。
と思います。
思いますが!
先日黒田さんにケーヨーデーツーに買い物に行ってもらう際院長が、
「超個人的な買い物をお願いしてもいいですか?」と頼んだのがコチラ。
 
院長、これは一体何ですか!?
院長「いや〜うちの猫たちがこれ好きで。
なんかご飯にすぐ飽きちゃうみたいで、
でもこれは飽きずによく食べるんですよね〜」
何だよ!自分だって甘やかしてんじゃねぇか!!
昨日、裏の暁星国際流山幼稚園の園児たちがハロウィンの仮装をして来院しました。
Trick or Treat 的なやつです。

↑群がられる院長。幼稚園から掲載許可頂きました。
余談ですが…
前々から思ってたんですけど、「お菓子をくれないとイタズラするぞ」って
ハロウィンという行事だから許されてますけど、
平時で言われたら張り倒しそうです。何様だ!脅迫する気か? って。
「それがお菓子をもらう人の態度かな?」ってネチネチ言うと思う。
我ながら嫌なババアだ(笑)。
お菓子は子供たちが来る少し前に幼稚園の先生が届けてくださいました。
一人ずつ「Trick or Treat」と言ってもらいます。
英語教育に力を入れている幼稚園なので、子供たちの発音が良すぎて、
院長が「You're welcome.」という度に、子供たちから発音を指摘されるのではと
ちょっとハラハラしました。
幼稚園で用意してくださったお菓子をさもうちで用意したかのように渡しました。
子供たちが大きくなってこの記事を読まない限り気づかないでしょう。
ちょっと罪悪感があったので、当院のロゴシールもあげました。それも、

↑ハロウィン2025バージョン
以前作成したデータがどっか行っちゃったので
前日に急遽こしらえた新バージョンです。
本当はかなりレアなキラキラバージョンのロゴシールをあげたかったのですが
(ビックリマンチョコみたいな)
園児が80人以上来るとなると数が足りませんでした。
キラキラシールは院長の宝物の一つのようです。
手に入れた時、何度もいろんな角度から眺めながらほくそ笑んでいた顔が忘れられません。
ここぞ!って見栄を張りたくなった時にキラキラを渡すようにしているので、
欲しい方は院長に直に言えば在庫があればたぶん貰えますよ。
ハロウィンシールも少し在庫がありますので、
来年用に欲しい方はお早めに!
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
先日いつものようにのんさんをわしゃわしゃしていたところ、
右わき腹に何やらポチっとしたものを発見!
のんさんはこれまで何度も【肥満細胞腫】という腫瘍ができ、
その度に鎮静をかけては切除するのを繰り返しています。
【肥満細胞腫】は犬では悪性腫瘍の中でもかなり悪い奴の部類に入りますが、
猫の場合は皮膚にできるタイプはあまり気にしなくて良いと言われています。
気にしなくてよいけど、出来てたらその都度取ってね、って感じらしい。
なんか今回もそれな気がします・・・。
本来はまずはポッチに針を刺して細胞を取って検査すれば良いのですが、
のんさんは体以上にメンタルが弱いので、
押さえつけてブスブス針を刺したりしたらたぶん悲しくて死にます。
また、大きさも3ミリ程度ですし、場所も脇腹なので
普通なら局所麻酔でちゃちゃっと取れちゃう程度ですが、
局所麻酔の針を刺す痛さとか、じっとしてなきゃいけない不自由感とか
そういうダメージに非常に弱い残念な猫です。
なので、もしかしたら全然取る必要ないポッチかもしれないけど仕方ない、
また麻酔で眠らせて切除しました。
だって大丈夫とも言い切れないですし…。
まあ、どの道そろそろ肛門腺に針を刺さなきゃと思っていました。
のんさんは他のみんなのように肛門腺を絞ることができません。
彼は肛門腺の開口部(出口)がないので、溜まる一方で出せないのです。
本人が気にしてなければスルーでもいいのですが、
違和感はあるようでとっても気にしています。神経質だし。
なので年に1回ぐらい肛門腺に直に太い針を刺して臭い液体を抜かなくてはならない
なかなかにめんどくさい猫です。
この処置は先ほどの腫瘍を取るよりたぶん痛いので、
麻酔で寝かせて同時に実施することにしました。
ついでに少し前に見つけた首のとこのポッチも。
幸い術前にした血液検査はとても優秀でした。
いつも高値をたたき出す【中性脂肪】もちょっと高い程度です。
普段はこういう時は自分がお休みの日に来て
こそっと処置したりするのですが、最近は休みの日も予定が詰まっており、
かと言って絶食でやらなきゃいけないので午前中が良い…ということで
ある日の水曜日、いつもより1時間以上早い朝7時に出勤し、
他のスタッフが来る前に一人で黙々と全作業を終えました。
正直、眠い!休みの日も予定が詰まってるということは
休みの日も忙しいということなので、実はとても疲れているということです。
だから本音は少しでも長く寝ていたい!
でも、のんさんのためだ、仕方ない!

問題の脇腹ポッチは矢印のところ。
背中じゃん!と思いますよね?肉が柔らかいので、
立ち上がると脇腹なのに、寝かせると背中になります。

かなり小さめです。ニキビぐらいかな〜

首ポッチはこちら。実は耳にもあったりしますが気づかないことにしています。
手術後は首と脇腹の傷口をいじらないようにダサダサの術後服を着せました。
今回は手足には傷がないのでエリザベスカラーはなしです。

↑いつもの卵焼きスタイル。
処置当日は鎮静剤の影響で夜までずっと大人しい…
大人しいというか…ムッとしているのかもしれません。
しかし翌日になってものんさんは前日とあまり変わらず。
生気が失われているという表現の方が正しそうです。
両目とも半分ぐらいしか開かず、鳴き声もいつもとは違って
かすれた小さな声で「に゛ゃー・・・」というばかり、

ケージの外に出しても術後服が気になるようで
よたよたと数歩歩いてはその場に横倒しに倒れ込んでいました。

↑行き倒れのんさん
え…まさか普通に具合が悪いの?とかガチで心配になるんですが、
ご飯はちゃんと食べてますし、もちろん排泄もばっちり、発熱もありません。
そりゃそうですよ、15分もしないで処置は終わりましたし、
なにより4ミリの傷が2つついただけですからね!
簡単な手術の代表格、オスの去勢手術よりも更にずっと簡単な手術ですし。
いつもよりも抱っこして欲しい気持ちは強いようで、
腰が痛くなってきて下ろそうとすると小さな声で鳴いて抵抗…。
これは…心がやられていますね。
これまでもそうですが、のんさんは何か医療行為をされると
「のんちゃんは ながれやまで いちばんかわいそうな ねこなんだ
きっと もう しんじゃうんだ」
みたいになります。この世の不幸をすべて背負ったような顔。
毎度のことなので、「ああ、またあれか」と頭では思っているのですが、
「あんなにしょんぼりしちゃって。なんてかわいそうなのんさん」
と思ってしまう自分もいたりします。

↑時々引っ張り出して天日干ししたりしました。
神々しすぎる!
そんな状態が続きまして、いつも以上にのんさんを気遣って生活していましたが、
土曜日、のんさんの傷口を見てみると、もう傷がくっついている!
これなら抜糸できるんじゃないかしら。
抜糸できればもう術後服を脱がせられるんじゃないかしら。
脱がせればのんさんのメンタルは治るんじゃないかしら。
という衝動に襲われました。
水曜日に処置して、土曜日に抜糸はちょっと早い。
早いけど、実際ちゃんとくっついているもの。
のんさんはきっと栄養状態が良すぎるから傷の治りが早いんだ!
と自分に言い聞かせ、本人の強い希望もあり土曜日に首と脇腹の抜糸をしました。
念のためもう一晩だけ術後服は我慢してもらいましたが、
日曜の昼には術後服も脱がせました。
脱がせた5秒後から、のんさんは半眼だったおめめがぱっちりと開き、
声はしゃがれ声から一瞬でつややかな声に戻り、
フラフラと歩いていたのがダッシュするようになりました。
そんな急に変わる?露骨だな〜
でもまあ、良かったです。具合悪いんじゃないなら。
のんさんはこういうの根に持たないタイプなので、
解放さえされれば別にもうそれ以上恨み後言ったりはしません。
のんさんは術後服を着ていた間には見向きもしなかった紐を追いかけて遊んでいました。
良かった…全然元気だわ…。
その後遊び疲れたのか夕方まで毛布を被って寝ていたのんさん。
もしかしたら術後服のイライラで意外と睡眠不足だったのかも…と思い
しばらく放っておいたのですが、
18時ごろ毛布の下に隠れているのんさんの後頭部を撫でていたところ、
あれ…首のところが一部しっとりする…まさか!
と思って引っ張り出したところ
悲報:首の傷 離開(パックリ開いていること)
のんさん、執拗に後ろ足で首を掻きむしってしまったようです。
これは…もう一度縫うしかない…
幸か不幸か針を刺さなくても傷口が開いてますので、
そこに局所麻酔を滴下。これである程度は効きます。
少し効いてきたところで極細の針で局所麻酔をし、
院長に2針縫ってもらいました。
「こんなに神経質な猫いないですよ」とのお叱りをうけるのんさんと、
「抜糸が早すぎたんですよ」とのお叱りを受ける飼い主。
だって…のんさんが可哀そうな猫ぶるんですもの。
でも再縫合になったせいでのんさんはまた術後服に逆戻りとなりました。
すまん…(/_;)
再び術後服を着せたところ、押さえられたショックもあってか
一瞬にして目は半開きになり、声はしゃがれ、
歩くのもヨタヨタになってしまいました。
脇腹の傷は無事なので、首さえ守れれば良いということで、

↑途中から首だけテープ巻いてみました。
驚異的な首周りのお肉のお蔭で

正面から見るとテープの存在に気づきません。
でもやっぱり

右からかきかき

左からもかきかき
ああ、こんなふうにしたらそりゃあ離開するでしょう、ってくらいの勢いで。
可哀そうなのんさん。だがしかし、せっかく早朝出勤したのに振り出しに戻って
そんな露骨なことされる飼い主もそこそこダメージ食らってるから許してほしい。
のんさんの可哀そうな顔はブランクなしで働き続ける
臨床14年目の獣医師の判断も一瞬で狂わせるほどのすさまじさです。
今回は確かに私が悪かったのですが、よくよく考えると
私とのんさんの組み合わせが最悪な気がします。
のんさんはとても神経質でちょっとしたことが気になってしまう猫なので
術後服を着るということがとてもストレスになってしまいますが、
かく言う私もどちらかと言えば神経質なの方なので、
気になってるのんさんがとても気になってしまいます。
もしのんさんが気にしてても、私が「ふ〜ん」ぐらいで気にしなければ
早まって抜糸をするということにはならなかったはずです。
逆に私が神経質だとしてものんさんがおおらかな猫で何も気にしないタイプなら
「のんさんは気にしてないみたいだからまあいっか」となったはずです。
だから実は、私とのんさんの組み合わせは相性が良くないんだと思う。
と、院長に話したところ、
「そうですね。でものんちゃんが神経質なのは、
明らかに飼い主が神経質だから
ですよ。
だから自分の排泄物や吐物を嫌悪しているし、
大したことないことでも気になっちゃうんですよ」
え・・・私のせい?そこまで通じ合います?
のんさんがウンコしたら「臭いね〜嫌だね〜早く片付けようね〜」とは言うし、
トイレの砂を散らばしたりベッドの毛布が乱れたらすぐ直してあげますけど
あの脳みそ小さそうなのんさんがその意味を理解してますかね・・・?
そんなに考え方とか価値観まで似ます?顔は似てるってよく言われますが…
でも確かにこんなに神経質な猫は患者さんでもあまり見ないですし、
顔だけ見てると神経質そうには見えないので、後天的なものかもしれません。
つまり全部私が悪いということですね。
ゴメンよ、こんな飼い主のせいで生きづらくさせてしまって。

↑でも、ご飯はちゃんと食べる
ま、のんさんの神経質には死ぬまで付き合うよ。
のんさんはいちいち大ごとになってしまいますが、
本来はそんなに大変な処置ではありませんので
もし、体にポッチを見つけた方はご相談ください。
針を刺して細胞を検査しても良いですし、ポッチの数が多ければ
とりあえず片っ端から取っていくのもありです。
また、のんさんのように全身麻酔をかける場合には
歯石除去や鼻涙管洗浄などの普段はできない処置も
同時に実施可能ですのでご相談ください。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
私はいつも院長から「のんちゃんを甘やかしすぎ」と言われます。
院長も3匹の猫を飼っていますが、獣医師が飼っているという共通点はあれど
両者の生活環境は全くと言っていいほど違います。
院長は7人家族なので、家の中はいつも賑やかでしょうし、
中3から始まり下は2歳半まで5人の子供たちがいますので、
大人と同じように接してくれる子供もいれば
意味もなく体をバンバンたたいてくる子供もいます。
また、多頭飼育なので自分のお気に入りの場所を
他の猫に占拠されていることもあるでしょう。
寂しくなることは多分ない、でも一人になりたい時には難しい。
一方我が家はというと、私とのんさんしかいません。
のんさんは音が苦手なのでテレビの音は小さくしていますし、
ドスドス歩くと怖がるので、家の中での私は
自然とつま先から着地して歩いています。
ドアを「バン!」と閉めることもなく、椅子に座っていても
のんさんがそこに座りたいと言えば喜んで席を譲り、
私はフローリングに転がっています。

のんさんのバッグに入りたくて上から圧をかける安中家の炭ちゃんと、
「あっち行って」とも言えずに無言の抵抗を続けるのんさん。
私の願いはただ一つ、
のんさんに悲しい思いをさせたくない、
いつものほほんと生きててほしい
こうして想定外の出来事にとても弱い猫が出来上がりました。
いつも緊張感がなく、猫なのに“ツン”の部分が皆無で
とっても素直ですが何事も飼い主に依存して生きる猫。
「そんな風だからのんちゃんはこんなに弱くなったんですよ」と院長。
幸い人間の子供や犬と違って、猫は甘やかしてもわがままにならないので
困ってることはそんなにないんですが、今回のような有事の時には困ります。
きっと観察しすぎなんですよね。
のんさんが「え・・・」って顔するから、「あ、ここ座っていいよ〜」てどいちゃうし、
のんさんがご飯をクンクンしたのにプイって行っちゃうから、
「あれ?違うのが食べたいのかな?」って別のものをあげてしまう。
院長「そんなの放っておけばいいんですよ、お腹がすけば食べるんですから」
それはそう。結局最終的には食べるの。でも、
「のんちゃんの気持ちにちゃんと気づいてるよ」って伝えたいんですよね。
安中家でのんさんを飼っていたら、のんさんはこんなに弱い猫にはならなかったかも。
毅然とした態度で飼ってたら、もっと自立した猫になったかも。
と思います。
思いますが!
先日黒田さんにケーヨーデーツーに買い物に行ってもらう際院長が、
「超個人的な買い物をお願いしてもいいですか?」と頼んだのがコチラ。

院長、これは一体何ですか!?
院長「いや〜うちの猫たちがこれ好きで。
なんかご飯にすぐ飽きちゃうみたいで、
でもこれは飽きずによく食べるんですよね〜」
何だよ!自分だって甘やかしてんじゃねぇか!!
 


